湯種とは
始めに【湯種】について簡単に説明すると、
湯種とは、小麦粉にお湯を混ぜて作る、糊状の生地のことです。
これを本ごねのときの生地に混ぜることで、もちもちとした食感のパンを作ることができます。
湯種で作るメリット
湯種を使ってパンを作ると、次のようなメリットがあります。
- もちもちとした食感になる
- しっとりとして水々しい、滑らかな口当たり
- 自然な甘みが出る
- 時間が経ってもパサパサしにくい
反対にデメリットとしては、
- 膨らみが悪くなる
- 食感が重たくなる
- こねる時間が長くなる
- ベタベタして扱いにくい生地になる
ということが挙げられます。
湯種で作るともちもちとした食感になる反面、中身が少し詰まったような食感になってしまうというわけです。
なので、歯切れの良い「サクッ」とした食感のパンを作りたい場合は
湯種は入れないでおきましょう。
湯種についてもっと知りたい方はこちら
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レシピ(材料1斤分)
湯種の材料
- キタノカオリ(国産強力粉)・・・35g(15%)
- お湯・・・51g(22%)
*( )内はベーカーズ%を表しています。
本ごねの材料
- ゆめちから(国産強力粉)・・・70g(30%)
- キタノカオリ(国産強力粉)・・・125g(55%)
- きび砂糖・・・7g(3%)
- 牛乳・・・45g(20%)
- 水・・・94g(42%)
- 塩・・・4g(2%)
- インスタントドライイースト・・・2.3g(1%)
- バター・・・7g(3%)
*( )内はベーカーズ%を表しています。
「イーストが0.3g単位まで計れない」という方は、
1.0gをお皿や紙の上に計量してから、それを(目分量で大丈夫ですので)4等分にしてください。
(「+」←こういう風に十字に4等分にします。)
すると1切れが大体0.25gになるので、そのようにして計ってくださいね。
湯種を入れる量はどれぐらいが適切なの?
今回のレシピでは湯種を20%使用しています。
湯種の量は、実際のパン屋さんでも多くて30%までだと思います。
あまり湯種の量を多くしすぎても、中身の詰まったお餅のようなパンになってしまいます。
また、湯種の量を多くすると、それだけ生地がまとまりづらく捏ね時間も長くなってしまいます。
そして、こね上がった生地もベタベタとして扱いづらく、分割や成型といった作業が難しくなってしまいます。
美味しさと作業性、2つの面からも湯種の量は多くても30%までが良いと思います。
もし、ご自分で湯種の量を調整したい場合は注意してくださいね。
YouTubeでも紹介しています。
YouTubeに動画をアップしてあるので、よろしければご覧ください。
作り方
作り方の段階は、大まかに二つに分かれます。
一つは、湯種を作る段階
もう一つは、実際に焼く前の生地を作る段階(本ごね生地と呼んできます。)
です。
湯種を作る
パンを焼く日の前日に湯種を用意しておきます。
「キタノカオリ(強力粉)35g」に沸騰した「お湯51g」を加え、
ゴムベラ等を使って混ぜます。
ポイントは、こね終わったときの温度が55℃以下にならないように手早く混ぜることです。
(注:火傷に注意してくださいね。)
これは、温度が55℃以下だと、デンプンの「糊化」という現象が上手く起こらないためです。
このデンプンの「糊化」がもちもち食感のパンの元になります。
次に、粉気がなくなるまで混ぜ終えたら、生地が温かいうちにラップをします。
このときに、生地にぴったりと密着させるようにラップをします。
ラップを密着させることで、生地から発せられる蒸気によって
生地がべちゃべちゃになることを防ぎます。
そのまま常温で粗熱がとれるまで置いておき
そのあと、冷蔵庫で一晩休ませます。
本ごね
最初に、本ごねの作業の流れを簡単に説明しておきますね。
- オートリーズ(60分)
- 生地をこねる(30分)
- 一次発酵(60分)
- パンチ
- 一次発酵(30分)
- 分割と丸め
- 成型
- 二次発酵(60分)
- 焼成(30分)
*( )内は作業にかかる時間を表しています。
という風に作業が進んでいきます。
こう見ると、作業の工程が多くてなんだか大変そうに感じますが
パン作りは生地を休ませたり、発酵させたりという
ほったらかしている時間が長いので、実際は待ち時間が多いです。
手を動かしている時間はそれほど長くはないので、安心してくださいね。
下準備
- バターを常温にもどしておく
- 食パン型(1斤)にバター(分量外)を塗っておく
- オーブンを天板ごと210℃に予熱しておく
1.オートリーズ
ボウルに「小麦粉」、「きび砂糖」、「湯種」、「牛乳」、「水」を入れ、
粉気がなくなるまで混ぜます。
乾燥しないようラップをかけ、常温で30分〜1時間程度置いておきます。
(このように生地をこねる前に寝かせる工程を「オートリーズ」と言います。)
・オートリーズについては、こちらで詳しく解説しています。
より詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
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2.生地をこねる
オートリーズが終了した生地に「塩」と「インスタントドライイースト」を加えて混ぜます。
材料が混ざったら、台の上に出してこねていきます。
10分〜15分ほどこねて、生地が大分出来上がってきたところでバターを加えます。
(イメージとしては、70%くらい生地が出来たかなというタイミングです。)
バターを生地に練り込みながら、さらに10分〜15分ほどこねます。
ポイント:バターを早く入れすぎると、こねる時間が余計にかかってしまいます。
そのため、通常パンを作る場合、バターは生地がある程度出来上がってから加えましょう。
生地のこね終わりの見極め方
生地が出来上がったかどうかの見分け方は、
生地を薄く広げて伸ばして、その『膜』を見ます。
生地の薄い膜を作ってみて、膜にダマが無く、なめらかで
また、向こう側が透けて見えるくらいまで、膜を薄く広げられるようなら
生地の出来上がりです。
3.一次発酵
こね終わった生地を発酵させていきます。
生地の表面をきれいに張らせるようにして丸め、ボウルに入れます。
乾燥しないようラップをかけ、35℃で1時間発酵させます。
お持ちのオーブンレンジに発酵機能があれば35℃に設定してください。
オーブンに発酵機能がないとき
お持ちのオーブンレンジ等に発酵機能がないときは
- 冷蔵庫の上などの暖かい場所に置く。
- 厚手のタオルに包む。
- オーブンレンジなどに、熱いお湯を入れた容器と一緒に入れる。
などという風にして、暖かい環境を作ってあげてください。
4.パンチ
発酵の途中で、一度生地のガスを抜く工程です。
1時間後、2倍程度に膨らんだ生地の表面に粉を振ります。
くっつかないよう、台の上にもかるく粉を振ってから、生地を台の上に出します。
①まず、生地を押すようにして叩き、中のガスを抜きます。
②次に、生地の表面(きれいな面)を下にして
生地を左右の向きに3つ折りにします。
③さらに、上下の向きにも3つ折にします。
④出来上がった生地を、表面を上にしてボウルに戻します。
その後、ラップをかけ35℃でさらに30分発酵させます。
・パンチについては、こちらで詳しく解説しています。
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5.分割
30分後、2倍程度に膨らんだ生地を2つに切り分けていきます。
粉を振った台の上に生地を出し、計りを使って2等分にします。
切り分けた生地を、表面を張らせるようにして丸めます。
乾燥しないようラップをかけ、常温で15分ほど休ませます。
6.成型
生地を形作る作業です。
生地と台にかるく粉をふり、手にも粉をつけておきます。
①まず、生地を一つとり、かるく叩いてガスを抜きます。
②次に、表面(きれいな面)を下にして上下の向きに半分に折ります。
③そのあと、生地を90度回転させて縦長の向きにおき、
下から生地を巻いていきます。
④巻き終わりが下になるようにして生地をおき、
両手を使って生地を丸く整えます。
⑤最後に、表面がきれいに張るように生地を整えたら、
裏側の閉じ目を指でつまんでくっつけます。
7.二次発酵
バターを塗った食パン1斤型に、丸く成型した生地を入れます。
35℃で60分発酵させます。
8.焼成
60分後、生地が型より少し低いくらいか、同じくらいまで膨らんだら
210℃に予熱したオーブンに入れ、25分焼きます。
焼きムラを防ぐため、型の向きを反転し、さらに5分焼きます。
9.焼き上がり
パンが腰折れ(ケービング)しないように、
パンをオーブンから取り出したらすぐに、型を台に打ちつけショックを与えます。
その後、生地を型から取り出します。
以上が湯種食パンの作り方になります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
パン作りの教科書
パンづくりに困ったら読む本:梶原慶春、浅田和宏 著
「パン作りの基本を学ぼうと思ったときに絶対におすすめの本」です。
辻調グループが出している、本当に教科書のような本で
作り方や材料のことなど、とても詳しく正確に説明してくれています。
バターロールや食パン、クロワッサンといった定番のパンのレシピも載っていて、とてもおすすめの本です。
使用した材料と食パン型
キタノカオリ / 1kg
北海道産強力粉(ゆめちから100%) / 1kg
カップ印 きび砂糖 / 750g
シママース / 1kg
サフ(赤)インスタントドライイースト / 125g
明治 発酵バター(食塩不使用) / 450g
富士ホーロー ベイクウェア 食パン焼型 1斤