作り方のポイント

【バター】の役割と使い方〜パン作りにおけるバターの疑問を解決!〜

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バターの役割ってなに?

バターなどの「油脂」をパンに加える目的は、

  1. コクのある味わいにするため。
  2. パンの中身のきめを細かく、柔らかくするため。
  3. パンの外側の皮を薄くし、柔らかくするため。
  4. パンのふくらみを良くするするため。
  5. 焼き上がったパンが固くなるのを防ぐため。

です。

柔らかくふっくらしたパンを作るためにはバターが必要不可欠です。

バターなどの油脂を後から加えるのはなぜ?

パンの生地を作るときに、バターなどの油脂を、粉や水分などと一緒に初めから加えるのではなく、後から加えるのはどうしてでしょう?

それは、最初に加えるよりも、後から加える方が、こねる時間を短くできるからです。

バターマーガリンショートニングなどの固形状の油脂は、「可塑性」という性質を持っています。
これらの油脂は、パン生地の中でグルテンの膜に沿って広がっていきます。
つまり、グルテンがないと混ざりにくいのです。

そのため、可塑性を持つ油脂を生地に加えるときは、ある程度生地のグルテンが形作られてから加える方が、油脂がグルテンになじみやすいため、こねる時間を短くできます。

パンの生地を作る際は、まずは油脂以外の材料をこねて、生地を8割ほど作ってから、油脂を生地に混ぜ込むことが基本の作り方になります。

「可塑性」ってなに?

先ほど出てきた「可塑性」とはどういうことでしょう?

可塑性」とは、外からの力によって、粘土のように形を変える性質のことです。

可塑性を持つ油脂は、生地に練りこまれたときに、グルテンの膜に沿って広がります。
このグルテン膜に沿って広がった油脂が、生地が膨らむときに潤滑油の役割をします。
そのため、生地の膨らみが良くなり、パンの焼き上がりのボリュームが増します。

バターとマーガリンの違いって?

バターとは

生乳の中の乳脂肪を集めて作られた乳製品の一つです。
独特の風味やコクをパンに与えることができます。
また加熱することで、こうばしい香りを生みます。

マーガリンとは

植物性油脂や動物性油脂に、粉乳や発酵乳、食塩などを加え、水分と乳化し作られたものです。
バターに似た風味を持ちながら安価で、バターよりも可塑性を発揮できる温度帯が広いという特徴があります。

バターとマーガリンどっちを使う?

あまりこだわらないのであれば、価格が安く作業性も良いマーガリン で良いと思います。

しかし、より風味を豊にしたいといった場合や、
健康面のことなどを考えるとバターの方が良いと思います。

溶けたバターを使うことはできる?

バターは溶けると可塑性を失います。
そのため、溶けた状態で生地に混ぜ込もうとしても、うまく混ざりません。

また、溶けたバターから水分が分離し、生地の水分量が変わってしまうため、基本的には使うことができません。
(中には、あえて溶かしバターを使うレシピもありますが。)

一度溶けたバターを冷蔵庫で冷やし固めて使うことはできる?

バターは液状に溶けてしまっても、冷やすと再び固まります。

しかし、質感はざらざらになり、少し温度が上がっただけで溶けてしまうようになります。
また、いったん溶けてしまうと、可塑性が失われてしまいます。

このような状態のバターでは、生地に混ぜ込むのも難しいですし、たとえ混ぜ込めたとしても、発酵の段階で溶け出す恐れがあります。
また、可塑性が失われてしまっているため、バター本来の力を発揮することができません。

そのため、一度溶けてしまったバターは、たとえもう一度冷やして固めたからといって使うことはできません。

ブリオッシュを作る時にはバターを冷やしておくことがコツ

次に、バターをたくさん使うパンの代表である「ブリオッシュを作るときに
注意する点について説明していきます。

ブリオッシュは、他のパンに比べて副材料(砂糖や卵、牛乳、バターなど)が多いため、こねる時間が長くなってしまいます。

こね時間が長くなると、生地の温度が上がってしまい、それによってバターが溶け出してしまいます。

そのため、あらかじめバターを冷やしておくことで、
生地の温度とのバランスを上手く取れるようにしておきます。

ブリオッシュのこね上げ温度を上げないためには?

たとえバターを冷やしていた場合でも、手ごねでは時間がかかってしまったり
捏ねているときの手の温度によって、出来上がりの生地の温度が高くなり過ぎてしまう場合があります。

そんな時は、バターだけではなく、粉も含めた他の材料も冷やしておくと良いです。

ブリオッシュの捏ね上げ温度は24℃くらいを目安にすると良いです。
30℃近くなってしまうとバターが溶け出してしまうので注意しましょう。

ちなみに、ハード系のパンでは24〜26℃
ソフト系のパンでは26〜28℃くらいが捏ね上げ温度の目安です。

ブリオッシュの生地を冷蔵庫で発酵させるのはなぜ?

ブリオッシュは、卵や砂糖、バターの配合が多いリッチな生地です。

バターを加える前の生地も、卵や砂糖の多さからベタベタとしていますが、
バターを加えた後は、さらに生地が柔らかくなります。

そのため、そのままでは分割成型といった作業がとてもやりにくくなってしまいます。

なので、生地を冷蔵庫で発酵させ、冷やして固くすることで、
ベタベタを抑えて、分割や成型といった作業をやりやすくします。

ブリオッシュの作り方についてはこちら

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以上が、バター(油脂)に関しての説明になります。

最後までお読みいただきありがとうございました。

参考資料

パンづくりに困ったら読む本:梶原慶春、浅田和宏 著

家庭でパン作りをする人」に向けて書かれた本です。
材料や作り方など、パン作りに関するいろいろなことについて詳しく解説してくれています。
バターロール食パンなどといった定番のパンのレシピも載っていて、とてもおすすめの本です。

パンづくりに困ったら読む本