イーストは、パンの発酵や膨張に直接かかわる、パン作りには欠かすことのできない材料です。
では、そのイーストとはどんなもので、どのような特徴があり、またどんな種類があるのでしょう。
イーストとは
イーストとは、たくさんあるパン酵母の中の一つです。正式にはサッカロマイセスセレビシエという微生物を工場で培養したもので、イーストとは製品名になります。
イーストのアルコール発酵によって生成される炭酸ガスは生地の膨張源となります。
また、ガスと同時に発生するいろいろな副産物はパンの風味をつくります。
イーストの利点
- 発酵力が強く、安定している
- 保存・維持しやすい
- 価格が安く、入手しやすい
- 使い方が簡単
イーストの欠点
- 生地がパサつく
- 噛みごたえのない食感のパンになる
- 短時間で発酵させた場合、イースト臭が残る
- パンの出来上がりが単一的になる
イーストの種類
イーストには主に3つの種類があります。
生イースト
イーストの培養液を脱水した後、成型したものです。
イースト菌が生きた状態で存在するため、冷蔵保存が必要になります。ドライイーストよりも劣化が早く、開封後1週間程度で使いきる必要があります。
特性上、菓子パンなどのリッチな生地と相性が良いです。
ドライイースト
イーストの培養液を低温乾燥させ粒状にしたものです。
予備発酵という、水分・栄養(糖分)・温度を整えてイースト菌を生き返らせる作業が必要になります。
具体的な作業としては、ドライイーストの約5倍量のぬるま湯(約40℃前後)と約1/5量の砂糖を用意し、湯に砂糖を溶かし、ドライイーストを入れて混ぜ合わせ、10〜15分間発酵させた後、もう一度混ぜ合わせて使用します。
開封後は冷暗所に保管し、できるだけ早く使い切ります。
発酵中の香りが良いため、フランスパンなどハード系のパンに使用されます。
インスタントドライイースト
イーストの培養液を凍結乾燥させて顆粒状にしたものです。予備発酵の手間がなく、簡単に使うことができます。また、3つの中で発酵力が一番強いです。水分と合わせると急速に水分を吸い込んで団子状に固まるため、あらかじめ粉に混ぜておく方が良いです。
開封後は密封して冷蔵庫で保管し、できるだけ早く使い切ります。
無糖生地用と有糖生地用があり、全てのパンに対応できます。
以上がイーストの説明になります。
個人的には、家庭で作る場合は、インスタントドライイーストが保管しやすく、使いやすくて、かつ多くのレシピでも使用されているため、おすすめです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
参考図書
酵母から考えるパンづくり:シニフィアン・シニフィエ 志賀勝栄
パン「こつ」の科学:吉野精一
基礎からわかる製パン技術:吉野精一
酵母から考えるパンづくり
パン「こつ」の科学―パン作りの疑問に答える
基礎からわかる製パン技術